二階堂和美(晶文社)
やはり、ニカちゃんの言葉はひと味違う。
それは、歌手、僧侶、母、妻という役割の多さにも由来するだろうし、
自分の内面を見つめた時間にも比例するんだろう。
中国新聞で毎週連載していたエッセイをまとめた本書。
生で歌や話を聞く機会はあったものの、文章を読んだのは初めて。
僧侶としての生き方考え方、家庭のこと、
歌が生まれる過程、高畑勲監督とのエピソード。
どれも私には新鮮でした。
これが望んだ道だったかどうかわからない。そもそも自分に目指していたものがあったかどうか。だが、音楽も宗教も、役割は似ているのかもしれない。常識や社会通年にとらわれた心をもみほぐしたり、ぶち壊したりしながら、心を耕していく。それができているかどうかは相手に委ねるしかないが、本来人前が苦手なはずの自分が、こうして今、歌ったりしゃべったりしていること自体、縁としか言いようがない。周りからの働きかけと助けをいただきながら歩んできたところに現在がある。(「抱えたつもりの私」より)
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