82年生まれ、キム・ジヨン

チョ・ナムジュ(筑摩書房)
韓国で100万部を突破したベストセラー。
世界17ヵ国・地域で翻訳が決定した本書には、1982年生まれの韓国人女性の「普遍的な」人生が描かれている。

そこに浮かび上がってくるのは、女が女であるというだけで直面してきた不条理や困難や絶望。

この物語をそのまま現代の、もしくは数年前の日本に置き換えても、残念ながら成立してしまう。そして、なぜ海外でもそれほどの反響があったのだろう。

私も韓国を訪れたことがあるので、そのとき受けたイメージと、ここに描かれている男女格差のギャップに驚いた。
ただ、#Metoo 運動の盛り上がりを見ても、日本よりも韓国の方が未来が明るく感じる。

伊藤詩織さんの例を思い出してほしい。声を上げる女性の声の大きさや少なさの問題なのか?それとも、それを受け取る社会の未熟さの問題なのか?

それは、私が自分に娘が出来たと想像したとき、ほとんど反射的に、教養を身につけるために習い事をさせ、日本を出て自立することを願ったことと、無関係ではないと思う。

「でもさ、ジヨン、失うもののことばかり考えないで、得るものについて考えてごらんよ。親になることがどんなに意味のある、感動的なことかをさ。それに、ほんとに預け先がなくて、最悪、君が会社を辞めることになったとしても心配しないで。僕が責任を持つから。君にお金を稼いでこいなんて言わないから」
「それで、あなたが失うものは何なの?」
「え?」
「失うもののことばかり考えるなって言うけど、私は今の若さも、健康も、職場や同僚や友だちっていう社会的ネットワークも、今までの計画も、未来も、全部失うかもしれないんだよ。だから失うもののことばっかり考えちゃうんだよ。だけど、あなたは何を失うの?」

▼a piece of cake 4u△

ひと切れのケーキの力を信じて。 from広島